世界のまんなかで笑うキミへ



学年ごとに色分けされている体操服。見たところ、私と同じ学年だ。


ああ、学年で目立つグループの男子たち。


二年生になると、話したことはなくても見かけたことはある、という人が増えてくる。


彼らもそれだ。直接話したことはないけれど、廊下なんかでいつもワイワイ騒いでいるから、目につくんだ。


今も楽しそうに話している男子たちを見て、もうすぐ次の授業が始まるぞ、と心の中で思ったとき、私は目を見開いた。



ーーあれ?

あんなひと、いたっけ。



彼らのグループの、中心にいるひと。


あまり声は大きくないけれど、明るく笑う、男の子。


見たことがなかった。


あのグループにいるひとなら、今までに必ず一度は見かけているはずなのに。


しかも、中心で笑っているようなひとだ。なのに……一度も見たことがないなんて。



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