世界のまんなかで笑うキミへ


この学校という小さな世界は、けれど揺るぎない大きなものが支配しているように見える。


狭い教室の中、大きな声で騒いでいる派手な集団、その周りを囲んで必死に愛想笑いを浮かべる人たち。


そんな彼らとは離れた場所で、静かに話をしたり、本を読んだりしている人たちもいる。


私がいるのはここだ。そして颯がいるのは、あの華やかな集団。


このふたつの間にある差は、見た目だったり性格だったり、好きなものだったり考え方だったりと様々だけれど、一言で言ってしまえるようなものではない。


感覚によるところが大きいように思う。



その場所が、雰囲気が、そこにいる人間が、自分に『合う』か『合わないか』。



そんな曖昧で不確かで大きな基準が、この小さな世界を支配している。



私と颯は『合う』のかな。


性格は全然違う。好きなものとかはよく知らないけれど、趣味はたぶん合わないと思う。


だけど感覚とか、考え方はどうだろう。



< 87 / 282 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop