世界のまんなかで笑うキミへ
私とは違うひと
「ソウ?……あ、橋倉颯のこと?」
昼休み。友達の眞子とお弁当を食べる途中、あの男の子について尋ねてみると、あっけなく答えを返されてしまった。
眞子は、高校に入ってから知り合った仲だ。
女の子らしくて華やかな彼女は、私に比べてずっと明るい性格をしている。
どちらかといえば大人しくて、冷めた性格をしている私。笑うことも少ないし、よく『冷たいね』と言われる。
趣味は絵を描くことくらい。目立つことも苦手だし、自分でも暗い性格してるなと思う。
だけど、そんな私にも、眞子は気にせず話しかけてくれる。
逆に気を遣わなくていいから、楽なんだそうだ。基本的にマイペースなところが、合っているのだと思う。
眞子は驚く私を見て、不思議そうに首をかしげた。
「眞子、知ってるの?その、は……橋倉?くんのこと」
「知ってるっていうか……うちの学年で、知らないひとの方が少ないと思うよ」
「……有名なひとなの?」
「んー、目立つし、人気あるし……理央ちゃんも、絶対一度は見かけたことあると思うけどなぁ」
「……………」
私だって、おかしいって思った。だけど本当に知らなかったんだ。
心の中の違和感が、眞子の話を聞いたあとでも拭いきれない。