世界のまんなかで笑うキミへ
「………本当なの、それ」
「……うん」
颯は、くるしそうに眉を寄せた。
信じられなかった。だけどそれが本当なら、颯がときどき私に見せる切ない笑みも、なんとなくわかる気がした。
最近になって、私にかまうようになった理由も。
颯が転校するなんて、一度も耳にしたことがない。他のみんなには隠しているのだろう。
きっとみんな、悲しむ。
しかも、颯みたいな人気者だ。太陽を失った世界は、どうなってしまうんだろう。
「……………」
何も言えなくなって、思わずうつむいた。突然突きつけられた事実に、頭がついていかない。いや、ついていきたくないのかもしれない。
夏が、終わったら。
颯は、いなくなる。
「………ありがと、理央」
涙ににじんだ声がした。
顔をあげると、颯が絵を見つめて、力の抜けた笑顔を浮かべていた。