世界のまんなかで笑うキミへ
「本当は、他にも理央と行きたいとこ、いっぱいあるんだよ。けど、理央の時間を邪魔することになりそうで、言い出しにくかった」
颯は、涙声でそんなことを言う。
どうして私なんだろう。
他の、もっと仲のいい友達ではなくて。
頭の片隅でふとそう思ったけど、顔をあげた颯がまっすぐに私を見つめた瞬間、そんな疑問はどこかへ消えてしまった。
「……俺がいなくなるまででいい。それまででいいから、俺の想い出づくりに付き合って、理央」
夏が終わる九月まで、あと約三ヶ月。
彼の言葉に、私は笑った。
返事をするのに、もう勇気なんかいらなかった。
「いいよ」
春と夏の間。
私と颯の、かけがえのない時間が始まった。