冷たい男
「“それが僕たちが生まれた環境”だって。他人事のように傍観してると楽しいわ」
「憎たらしいな、お前」
「統李お兄さんが言った事は間違ってはないかもね。お兄ちゃんは大人気なかった」
「腹立ったもんは仕方ないだろ」
母親が座ってた兄の前に座り直し、煙草に火を点ける。
兄は兄で、ジンジャーエールを飲み干したグラスにワインを自分で注いで呑んでる。
「着替えてから居酒屋でも行かない?落ち着かないんだよね、ここ」
「俺も。30分後にいつもんところで良いか?」
「じゃ、後で」
私は煙草を適当に灰皿へと押し付けて、レストランを出た。
借りてた部屋まで荷物を取りに行き、支払いを済ませてタクシーで自宅マンションへと戻る。
そして髪を解き、メイクをいつも通りに直す。
服はTシャツにスエットというラフな格好で、将李のサーフィン仲間がバイトしてる居酒屋へと歩いて向かった。
将李のマンションと、私の暮らすマンションは徒歩でも2~30分。
その中間地点に位置する居酒屋に、わざわざタクシーを呼ぼうという発想はない。
実家に雇われてるお手伝いさんが車を出してくれるらしいけど、一度も頼んだ事もない。
贅沢かも知れない。
けど、金持ちの生活は本当に嫌い。
だから高校も普通なところを選んだし、マンションでも自炊する。
電車やバスだって乗る。
それは将李も同じ。
いつだったかな。
私たち2人だけが、この生活を求め始めたのは。
将李が高1年で、私が中3年の時だったかな。
「憎たらしいな、お前」
「統李お兄さんが言った事は間違ってはないかもね。お兄ちゃんは大人気なかった」
「腹立ったもんは仕方ないだろ」
母親が座ってた兄の前に座り直し、煙草に火を点ける。
兄は兄で、ジンジャーエールを飲み干したグラスにワインを自分で注いで呑んでる。
「着替えてから居酒屋でも行かない?落ち着かないんだよね、ここ」
「俺も。30分後にいつもんところで良いか?」
「じゃ、後で」
私は煙草を適当に灰皿へと押し付けて、レストランを出た。
借りてた部屋まで荷物を取りに行き、支払いを済ませてタクシーで自宅マンションへと戻る。
そして髪を解き、メイクをいつも通りに直す。
服はTシャツにスエットというラフな格好で、将李のサーフィン仲間がバイトしてる居酒屋へと歩いて向かった。
将李のマンションと、私の暮らすマンションは徒歩でも2~30分。
その中間地点に位置する居酒屋に、わざわざタクシーを呼ぼうという発想はない。
実家に雇われてるお手伝いさんが車を出してくれるらしいけど、一度も頼んだ事もない。
贅沢かも知れない。
けど、金持ちの生活は本当に嫌い。
だから高校も普通なところを選んだし、マンションでも自炊する。
電車やバスだって乗る。
それは将李も同じ。
いつだったかな。
私たち2人だけが、この生活を求め始めたのは。
将李が高1年で、私が中3年の時だったかな。