冷たい男
母親に言いたがらない。

私に彼女の存在アピールをし、最初に会わせようとしてる事で、密かに勘付いては居たんだ。



「私が入院してた時に一緒だった“浜崎頼香-ハマサキライカ-”ちゃんでしょ」



「……あぁ、そうだ」



最初は驚きながらも、すぐに頷いた将李。

浜崎頼香は私の6歳上で、確か今年で24歳になる筈。

母親に紹介出来ないのは、一つが年上である事。

もう一つは、彼女は借金もある家庭の子だった。

入院費も払えず、追い出されそうになってたところを、この兄は何も考えず自分のクレジットカードで支払った。

しかし、それは母親から持たされてたもの。

私は現金派だから私に言えば良かったのに、カード会社から送られて来る明細を見た母親は、将李を問い質して激怒。

借金までも完済してあげようとも考えてたらしく、一時は縁を切られそうになってた。

何とか統李と私で母親を落ち着かせたものの、恋人にまで待ってたとは。

それは紹介出来ないと納得。

私でも呆れる展開だ。



「今は借金もごく僅かで、親父さんが経営してるスーパーも落ち着いてるんだ」



「だからって、ねぇ……」



あの母親が、許すとは到底思えない。



「てか、彼女は癌じゃなかった……?」



「お前だろ」



「……その話は良いから、今は彼女の話」



「今も入院してる。けど、3年も傍に居て、付き合ってるんだ。別れる事はない」



「……まだ3年、じゃないんだね」



「嫌だったら煙草止めろよ」



「煩いな」



私の気持ちも知らないで。
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