冷たい男
スーパーに寄り、適当に飲み物と食材を購入して風岡のマンションへと出向く。

今日が月曜日だと言うのに、いきなり抱かれる事なくキッチンへと立つ。

炊飯器をセットし、大葉と梅干しを刻む。

今晩はハンバーグにする予定。

けど、和風に。

ミンチ肉に刻んだ大葉と梅干しを混ぜ、しばらく冷蔵庫で寝かせる。

余り捏ねると手の熱で脂が溶けるとジューシーさが損なわれるから。

その間に、ワカメと豆腐のお味噌汁とサラダを準備。

--ピリリリ…ッ



「……もう誰よ……」



また登録外の番号。

タオルで手を拭い、スマホを鞄から出すと“公衆電話”から。



「もしもし?」



どうせ、出会い系。

そう思って電話に出た。



『侑李か……?』



「お兄ちゃん?何で公衆電話?お兄ちゃん?」



『あいつ、人間じゃねぇ……』



「は……?」



『今、頼香の病院なんだ。会えないか……?』



「良いけど……、もうちょっと後で良い?今手が離せないから。メールする」



『わかった……』



電話を切り、冷蔵庫からハンバーグのタネが入ったボウルを取り出す。

いつもと違う様子だった将李。

…“あいつ”……?

あいつって、誰だろうか。



「この辺りに、喫茶店てあった?」



「スーパーの横」



成形したハンバーグを焼きながら、風岡に訊ねると、夕刊に目を通しながら答える。

将李を気にしながらも、とりあえず風岡の分だけ食事を準備して喫茶店の場所をメール。
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