冷たい男
「このマンションで気になっては居たけど、風岡は何者なの……?」



高校教師では、先ずあり得ないでしょ?



「俺はただの高校教師。母親が城﨑財閥会長の娘で、親父が蓮本敏夫-ハスモトトシオ-ってとこだ」



「…………;;」



「兄貴は蓮本鉄也-テツヤ-。だからここに住めてる。本当はこんなとこ住みたくねぇけど、貰ったからには住むだろ」



「や、貰うかどうかは別として、そんなに裕福なら、なかなか風岡を超える人は居ないんじゃないの……?」



「居るだろ。父親がホテル王で、母親はあのCMによく出てる笹岡マリ子-ササオカマリコ-。後ライカの話だと、兄貴はデザイナーのTOTO(とと)だったか。……あんな家のヤツらに、敵う筈ねぇよ」



「……ごめんね」



聞いた私が馬鹿だった。

確かに、風岡のお父さんやお兄さんの人気ぶりでギャラの高さは窺い知れる。

しかも、お母さんは城﨑財閥の関係者と聞けばこのマンションも納得。

だけど、我が家はその上を行ってる。

考えないようにしてたけど、辻褄が合ったと言うのかな。

風岡を超える人は、私のすぐ傍に居た。

ライカさんが頼香ちゃんだと思いたくなくて、考えないようにしてたけど、もうわかってしまったら、どうしようもない。



「だから、嫌なんだよね……。金持ちって言うのは……」



「は?」



「ごめんね……。お兄ちゃんが、頼香ちゃんを奪って……」



そして、知らずに好きになって……。
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