冷たい男
「……侑李」
「はい……お兄さん」
「お兄ちゃんて何だ」
「…………」
「将李も、どうなって居るんだ」
風岡のお陰で、徐々に冷静さを取り戻した私に、統李から思い掛けない質問が。
そう言えば、余裕がなかったとはいえ、将李も私も“素”の自分になってた。
将李は舌を出しながら、やらかしたと言わんばかりに顔を背ける。
私もどう返事をすべきかわかず、天井を見つめる。
いつかはバレてしまうと思ってたけど、いざそうなると言い訳も何も浮かばない。
「将李と侑李は、足立家の人間としての誇りはないのか!!」
私たちの態度は、普通の人ならいちいち怒らないだろうけど、統李の逆鱗には触れてしまったようだ。
怒鳴られ、今更と感じた私たちは、「ない」とそれぞれ正直に答えた。
「お金持ちとか、威張ると言うのかな。全く興味がないんだよね……」
「俺は、お袋に呆れてる」
「お、“お袋”……?;;」
「私、そんな風に呼ぶような子に育てた覚えはないわ!!」
唖然とする統李に、ヒステリックのように叫ぶ母親。
“お母様”ではなく、本当はお母さんとかシンプルに呼びたい。
一つ一つが堅苦しい生活は、うんざり。
「育てたのは家政婦」
「将李っ!!貴方はいつもいつも私の気分を害するわね!!」
「や、ただの本音だけど……」
天井から、無表情の風岡に視線を移す。
完全に、呆れてる。
母親と兄たちをシャットアウトしてる。
「はい……お兄さん」
「お兄ちゃんて何だ」
「…………」
「将李も、どうなって居るんだ」
風岡のお陰で、徐々に冷静さを取り戻した私に、統李から思い掛けない質問が。
そう言えば、余裕がなかったとはいえ、将李も私も“素”の自分になってた。
将李は舌を出しながら、やらかしたと言わんばかりに顔を背ける。
私もどう返事をすべきかわかず、天井を見つめる。
いつかはバレてしまうと思ってたけど、いざそうなると言い訳も何も浮かばない。
「将李と侑李は、足立家の人間としての誇りはないのか!!」
私たちの態度は、普通の人ならいちいち怒らないだろうけど、統李の逆鱗には触れてしまったようだ。
怒鳴られ、今更と感じた私たちは、「ない」とそれぞれ正直に答えた。
「お金持ちとか、威張ると言うのかな。全く興味がないんだよね……」
「俺は、お袋に呆れてる」
「お、“お袋”……?;;」
「私、そんな風に呼ぶような子に育てた覚えはないわ!!」
唖然とする統李に、ヒステリックのように叫ぶ母親。
“お母様”ではなく、本当はお母さんとかシンプルに呼びたい。
一つ一つが堅苦しい生活は、うんざり。
「育てたのは家政婦」
「将李っ!!貴方はいつもいつも私の気分を害するわね!!」
「や、ただの本音だけど……」
天井から、無表情の風岡に視線を移す。
完全に、呆れてる。
母親と兄たちをシャットアウトしてる。