冷たい男
だが、母親は何も言えないようだ。

自分より、俺の方が侑李と家族らしさがあるとわかってるんだろう。



「お母さん」



「はい……」



「あまり教師染みた事を言いたくないですが、良いお子さんに育ってますよ。将李も侑李も」



「先生……っ」



まさか褒められると思ってなかったのか、母親は涙を溢した。

ハンカチで目頭を押さえながら、何度も何度も頭を下げてる。

「反抗期なだけでしょう。こいつは」と言いながら、俺の頭を撫でる風岡。

その手を振り払うと、勢い余って侑李の上に倒れた。



「っ……た……、」



「悪い……;;」



ヒビが入ってる肋骨に当たった俺の腕。

侑李が眉間にシワを寄せながら、薄目で俺を見て来た。



「何で、風岡と将李……?何、この夢……」



侑李はブツブツと言いながら、再び目を閉じるも思い切り目を開け直した。



「何ここっ!?えっ?お母様??へっ!?風岡が何で!!ったー……;;」



「おい;;」



…肋骨にヒビが入ってるだろうが;;

何故、今になって風岡と俺に驚いてる……?

素は素なのに、侑李こそ何だ?;;



「侑李」



「はい……;;てか、何で手を……っ?;;」



「侑李、何を照れてるんだ さっきから握ってただろ」



「わ、私が!?まさかー……;;だって、ね?;;」



「……あ?」



…俺の頭がおかしくなるわ;;




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