冷たい男
「何ともないって」



「奇跡だな」



検査を受けなかったのは自分自身なのに、いざとなると嬉しく、竹内先生が出て行くなり、風岡に声を掛ける。

やっぱりと言った反応だけど、気にせずに手招きをする。

素直に近付いて来た風岡の手を取り、ベッドに座った彼の頬にキス。

長い脚を組み、顔色を変えない。



「それで済むと思ってるのか」



しかし、鋭い目で顔をこちらへと向けて来た。

風岡がこれで満足するかどうかは気にしないが、私は別に済ませるつもりはない。

かと言って、風岡がこちらを向かなければ、続きをするつもりはなかったけど。

焦らすわけではなく、何となくムードに乗っかるようにゆっくりと唇を重ねた。

深まって行くキス。

首に手が回され、息継ぎさえ許されない状況。

指導権は私のつもりだったのに、気付けば風岡へとなって居て、いつもの荒々しいものに変わって行く。

--コンコンッ



「ンッ……!?」



誰かが来たのに、離してくれない風岡。



「侑李ちゃ……、」



風岡の胸を必死に叩く中、まだ返事もしてないのに入って来たのは頼香ちゃん。

…絶対、見られた……。

というか、見られてる……。

私の咥内を蠢く風岡の舌。

この男は今、何を考えてるのか……。
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