冷たい男
「だからどうした」



「蓮也、急に優しくなくなった……。電話にも出てくれないし」



「もう何の気持ちもなくなったって言っただろ」



「じゃあ、私の気持ちは!?」



頼香ちゃんの気持ちって……、何だろうか。

将李にフラれて別れた。

それは風岡の責任。

将李と恋人同士だった筈なのに、風岡を追い掛けてる。



「…………」



私の頭がおかしいのか、全く理解が出来ない。

目を閉じ、自分に置き換えて考えても首を傾げてしまった。

私だって、風岡と頼香ちゃんの電話に良い気はしてなかったけど、2人が別れたのは、風岡の言う通りで、これまでだったとしか思えない。

例えそれがきっかけで別れたとしても、私は別に頼香ちゃんに責任があるとは思わなかった筈だ。

何でと訊かれたら、それはやっぱりこれまでの2人の気持ちによるものであって、電話は溜まりに溜まってた油に火が注がれただけ。

私は離れたくない気持ちで、好きという気持ちで風岡を信じたから、今こそ本当の恋人になれたんだと思う。



「気持ち何て知るか」



「……ここで、言えるわけないでしょ」



「なら、大人しく病室に戻れ」



「私は、侑李ちゃんのお見舞いに来たの」



「…………」



こんなお見舞い、嬉しくない。

風岡が好きなら、正直に言ってぶつかってくれたら良い。

それに、将李が言ったらしいお金目当てについて触れて欲しかった。

付き合いについてはどうでも良い。

でも、場合によってはお金、返して。
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