冷たい男
最終章「冷たい彼氏」
どんなに時間を掛けたとしても、私にこの冷たい男を変える事は出来ない。
生まれ持った性格を、どんなに強く胸に抱く愛で温かいものに変えようとしても不可能。
その度に、気付いたら私の想いは深まる一方で、どんな権力を駆使しても別れないと願った。
結果、学校にバレず、別れる事なく“禁断”とも言われる教師と生徒としての恋に終わりを迎えれた。
隠すつもりはなかったけど、正々堂々と恋人として胸を張って行こう。
冷たい男だけど、人に自慢出来るような2人になろう。
まぁ風岡……、いや、蓮也が話す日はないだろうから、私だけでも。
「……はいストーップ」
「――チッ」
「拗ねるのは勝手だけど、そうも拗ねてられないよ」
「あ?」
卒業式の夜、これから蓮也も連れて家族で食事会へと行く為、迎えに来た途端に襲われかけた。
しかし、私は蓮也の顔を押して断った。
女の子の日でも、拒否したわけじゃない。
そんな気分じゃないんだ。
「私には、もう蓮也は変えられない」
「頼んでない」
頼まれたとしても、無理だと思う。
それに気付かない蓮也は、自分では少し優しい人間とでも思ってるのだろうか。
……それもないか。
あったら末恐ろしい男だ。