春、さくら、君を想うナミダ。[完]
「最近はどんな本を読んだの?」
彼に質問してみると、彼は鞄の中から一冊の本を取り出した。
「これ」
「どんなお話なの?」
「おっ、気になる?」
パッと目を輝かせた彼に、あたしは笑顔でうなずいた。
「主人公が前世の記憶を持ったまま、生まれ変わった物語。さくらは本好き?よかったら貸すけど」
「うん。読んでみたい」
彼から本を受け取ったあたしは、彼にたずねてみた。
「ねぇ……前世とか、生まれ変わりって信じてる?」