春、さくら、君を想うナミダ。[完]
写真を拾うと、
涙の粒がポタッ、ポタッと写真の上に落ちていく。
写真の中の君とあたしは、幸せそうに笑っていた。
笑顔の君を、人差し指でそっとなぞる。
戻りたい。
このときに……戻りたい……。
「……ハルくん」
唇を震わせ、君の名前を呼んだ。
「逢いたいよ……ハルくん……ううっ……」
握りしめた写真で、目元を覆った。
涙が止まらない……。
君はなにも悪くなかった。
全部、あたしのせい……。
幸せな未来を信じることができなかった、あたしのせいだった。
傷つきたくなくて、君からも逃げた。
隣にいたはずの君は……もういない……。