メガネ男子と同居中
【莉子 side】

「水谷さん…どういうこと…」

黒瀬が固まってそういう。

「黒瀬が会いたくないのも忘れたいのもわかるよ。でも、ちゃんと話してちゃんと仲直りしなきゃ、忘れられないと思うから」


「…ごめんなさい、水谷さん、僕帰りま…」

「また逃げんのか?」


!!

和田くんの声に公園を出ようとした黒瀬の体が止まる。

待ち合わせの時間ぴったりにやってきた和田くんは、学らんにマフラーをしてやってきた。


きっと、急いできたんだろう。
少し汗をかいている。


「…お前はいつもそうだよ。逃げてばかりだ」

「……」

「なんか言えよ」

「…君と話すことなんてないよ」
とうつむく黒瀬。

「ちょっと黒瀬!」

「水谷さん、なんなんですか!…こういうの…本当に…やめてください!!」


黒瀬が大きな声でそう怒鳴る。
でもその声はすごく震えていた。


「おい、なんでこいつに八つ当たりすんだよ。悪りぃのはお前だろ?お前が人の女に手ェ出したりするから…」

和田くんはわざと黒瀬が苦しむ言い方をする。
ちゃんと黒瀬の口から「僕は悪くない」ってセリフを聞きたいから。


「そのことは…もうずっと前に謝ったじゃないか!」

「謝って済む問題じゃねぇよ、あいつだってすげー傷ついたんだぞ!!お前のせいで俺らは…」


和田くんは真っ赤な顔をして怒鳴る。


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