メガネ男子と同居中
「今日は本当にありがとうっ」
あたりが暗くなった時、マコトくんが家まで送ってくれた。
最後まで優しい人で。
まっすぐで。
初めて、いいなって思えた。
「ううん。俺のこと、積極的に考えてくれたら嬉しいな」
家の門の前まで着いたのに、マコトくんはまだ繋いでる手を離さない。
「うん…」
今までならさっさと付き合ってたはず。
だけど。
マコトくんは思った以上にいい人で、こっちももっと真剣に考えてあげなくちゃって気になる。
「俺じゃダメかな?」
「え。あ、ううん!ただ…テストがあって…私、バカだから今回のテストの成績悪いと進級できないかもなんだ…だから今はテストに集中したいっていうか…」
マコトくんは真剣に聞いてくれる。
「そっか。わかった。頑張ってね。俺にできることあったら言って?…っていっても俺も勉強あんまり得意じゃないけど」
マコトくんは爽やかな笑顔でそう笑う。
「ありがとうっ」
「テスト終わったら…返事、聞かせて」
「うんっ」
胸がドキドキする。
こんなの…初めて。
「お帰りなさい」
低い冷たい声が聞こえ、私とマコトくんは同じ方向を振り返る。
…げ。
く、黒瀬…!
私は思わずパッと、マコトくんの手を離さなす。
こんな奴に見られるとか!!!
「…ん?…莉子ちゃんのお兄さん?」
マコトくんがメガネ黒瀬のことを見てそう聞く。
「…いや、お兄さんっていうか…」
一緒に住んでるなんてばれたら、台無しだよ。
私は異常に汗を掻く。
「水谷さん、そちらは?」
黒瀬がわざとらしく私にそう聞く。
「ちょ、黒瀬…。えっとー…こちらは西高の長谷川 マコトくん」
黒瀬は「あぁ」と言って、マコトくんに体を向ける。
「水谷さんと一緒に住んでます。黒瀬 葵です」
!!!!
ちょっとーー!!
ストレート過ぎでしょーー!!!!
「いや、あ、その…」
慌てる私。
「え、住んでる?莉子ちゃんどういうこと?」
マコトくんが不安そうな顔をする。
「あ、えっと…その…」
私は落ち着いてゆっくりと、マコトくんに事情を説明した。