メガネ男子と同居中
そして、やってきたテスト当日。
朝から緊張して、朝ごはんはあまり喉に通らなかった。
だって、これで決まるんだもん。
進級できるか、できないか。
「行ってきます」
黒瀬がうちを出てから30分経って、私も家を出る。
「莉子ちゃん、頑張ってね!すごく頑張ってたからきっと大丈夫!!」
麻友さんが私の手を握ってそう言ってくれる。
「ありがとうございます!」
「あ、あとこれ」
麻友さんがいきなり、エプロンのポケットから小さな袋を出した。
「な、なんですか?これ」
渡されたピンク色をしたその袋は綺麗にリボンされていて、なんだかバレンタインのチョコみたいだ。
「葵が、チョコは集中するためにはいいから、莉子ちゃんに準備していてって。昨日の夜」
「え…黒瀬が?」
「葵、よっぽど莉子ちゃんのこと好きみたい」
麻友さんはそう言って笑うと、私の肩を掴まえて「ファイトっ!」とウインクした。
黒瀬…。
会うと嫌味しか言わないけど、なんだかんだ私のことを考えて行動してくれてる。
嫌いだけど、今回は黒瀬のためにも頑張ろうと思う。
私は、貰った袋を握りしめて、玄関を開けた。