君に恋する5秒前


【勝負服】


「ちょっと加奈さん!?ここって…」

「デートで着るならやっぱこれね!」

そう言って手に取ったのは、ワンピースだ。



「こんなの着たことないよぉ…」

「絶対似合うって!とりあえず着てみ!」

加奈にほぼ無理やりという形で私は、
この白地のシフォンワンピースを着てみることにした。

白地に薄いピンクの花柄、バックレースの
あしらわれた、いかにも女の子!というような
可愛いらしいワンピースだ。
はたして、こんな男子みたいな私が着て
大丈夫なのだろうか?

「慧ー?開けていい?」

「うん…いいよー」

カシャッ

「えっ」

「えっってなによ!?だから似合わないって…」

「いやいやめっちゃいいじゃん!」

「ほんとに?ほんとに大丈夫?」

加奈が無言で頷く。
せっかく加奈が選んでくれたのだから、
これにしよう。


ついでに歩きやすそうな、白いパンプスを買って
買い物を終えた。

「明日頑張りなよ!」

「うん、ありがとう…」

「ちゃんとメイクもするんだよ!」

「がんばります…。」

乗り気でないような態度をとってはいたが、
内心はかなり楽しみで、期待に満ちていた。

(うん!頑張ろう!)

私は、スキップしながら家路へと急いだ。


「日向さん…」


明日大変な事が起こるとも知らずに。
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