あ、あ、あ愛してる
思い
和音くんはあたしの膝に倒れこみ横になった。

辛そうに掠れた声で言葉を呟いたけれど、ひどい吃音とハッキリしない滑舌で、何を言ったのか殆ど聞き取れなかった。

火照った和音くんの体温が膝にじわりと伝わる。

和音くんの額には、会場は冷房も効いていてじゅうぶん涼しいのに、汗が滲んでいる。

ハンカチを取り出し、そっと汗を拭く。

「花音!?」

隣の席で愛美があたしの膝を覗き込み、首を傾げる。

あたしは口元に人差し指を当て「静かに」と、内緒声で言う。


「ずいぶん疲れているみたいね。寝息が荒い」

和音くんは息を吸う時も吐く時も、喘ぐように忙しく肩で息をついている。

喉の奥から隙間風が吹き抜けるような音がしている。

「熱があるみたい。すごく火照ってるの」

「ウソっ、大丈夫なの!?」

愛美はあたしの膝に寝ている和音くんの額に、恐る恐る手を伸ばした。
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