あ、あ、あ愛してる
拓斗と奏汰も和音くんの名を叫びながら、舞台に駆け上がり、グッタリして動かない和音くんに何度も呼びかける。

和音くんの息は弱々しくて、息を吸うたび喉の奥で喘々と音が鳴っている。

「和音――っ!!」

拓斗と奏汰の叫び声が虚しく響く。

客席からも和音くんを呼ぶ声が聞こえる。

和音くんはピクリともしない。

「Alice!! ねえ、Alice!! 応えてよ、Aliceーっ」

あたしの叫び声は嗚咽に変わっていた。

「退きなさい」

LIBERTEのマネジャーが拓斗と奏汰ともあたしを押しのけた。

スタッフに和音くんの最近の状況を話して、和音くんはグッタリしたままタンカで運ばれて行った。

マネジャーと拓斗たちがその後を追う。

あたしも後を追おうと「Alice」と呼んだけれど、拓斗が振り返り、あたしに言った。

< 126 / 209 >

この作品をシェア

pagetop