あ、あ、あ愛してる
沈み込んでいたコーラス部員たちが一斉に歓声を上げた。

表彰を受ける部長と仁科副部長を見つめて、愛美がしゃくりあげながら、あたしにしがみついた。

「花音。わたし、有栖川さんのピアノ伴奏を引き継いで弾けない。あんなふうにみんなを引っ張れない」

「和音くん、言ったじゃない。愛美は愛美のピアノ伴奏をするんだって。俺の代わりではなくお前自身のピアノを弾くんだって」

「でも……」

「和音くんがあたしたちを関東大会まで繋いでくれたの。この先は、わたしたちの力で全国大会に行くの」

――和音くんの思いをムダにしちゃいけない、和音くんがあんな状態で頑張ったことを、ちゃんと生かさなきゃいけない

あたしは和音くんの姿を思い浮かべながら必ず全国大会に行くんだと決意した。

「続いて優秀伴奏者賞の発表です」

数人の伴奏者の名が呼ばれた。


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