あ、あ、あ愛してる
俺は窓越しに見えるイベント広場を眺めた。

マネジャーと、園のスタッフがライブ中断の対処に追われている。

会場に残っている客が揉め、収拾がつかない様子に胸が痛む。

中途半端になったライブが悔しかった。


「あ、あの……た、た拓斗……」

拓斗の袖を引き、必死に喋ろうとする。


「どうした、和音」


「ま、ま、まだ……の、のこって……ファ…フ、ファンが……」

1つの単語を言うのにも数秒かかる。


「おい、落ち着け。手話使え」

奏汰が見かねて、俺の背を擦る。


『中途半端はイヤだ。まだファンが居る。俺、歌いたい。ガッカリさせたまま、イヤな気持ちのまま帰したくない』


「!? 和音」

拓斗と奏汰が驚いた顔で俺を見る。


『プログラム通り歌わなくても、1曲だけでもいいから歌いたい』

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