あ、あ、あ愛してる
学長が俺を紹介し俺が筆談で挨拶すると、彼らは怪訝そうに俺を観て「大丈夫なのか」と口を揃えて訊ねた。

「彼、有栖川和音は我が校音楽科が誇る最も優秀な学生です」

学長はきっぱりと言い切った。

ピアニストの姉エマは「Oh! My Kazune? Really LIBERTE of vocal, Are a Kazune?」と興奮気味に言いながら、俺に抱きついた。

「I Are such your fan. Not sing in the throat of the disease, I did spent crying one week to hear LIBERTE is a dormant.」

――I'm sorry to have worried.Now, we have a hard rehabilitation. Once again sing way.

俺は出ない声を絞り出し掠れ声で、吃音しながら謝り、彼女が離れるのを待って、メモを書いて彼女に見せた。

彼女の目には涙が滲んでいた。

マネジャー、アメリカ大使館広報文化交流部担当オフィサー、コンサートスタッフは相変わらず、俺を見下ろし、苦虫を噛み潰したような顔で睨んでいた。


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