あ、あ、あ愛してる
「無茶言うなよ。今、出ていったらもっと収拾つかなくなるだろ」

奏汰がイベント広場を睨み、不機嫌そうに言う。


『それでも、俺は歌いたい。ウサギの着ぐるみのせいでライブ中断したなんて言わせたくない』


「はあ!? あのウサギのせいで中断したんだろ」


『バイト中で着ぐるみ着たままじゃなきゃいけなかったんだ……「ライブ聴いて」俺が花音に言ったから……だから』


「信じらんねぇ、お人好しにも程があんだろ」


『もういい、俺1人で歌うから』

俺は拓斗と奏汰の声を振り払い、イベント広場に走った。

何を歌うか、どう話すか何も考えられずに、ただ走った。


「和音ーっ」

マネジャーや園のスタッフが必死に客を静めているのに、俺の姿を見つけた客が歓声を上げる。

俺はステージに上がり、ベースギターを手に取った。

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