あ、あ、あ愛してる
興奮気味の一際大きく低い声に、緊張が解けた瞬間、体の力が抜けた。

「Kazune!?」

エマの声が聞こえ、マネジャーが俺の沈む身体を受け止めた。

「It seems true that convalescence is. Lot it's delicate. Thinner than Emma.」

華奢だと言われるのには慣れているつもりだが、女性より細いと言われたのはショックだった。

エマがマネジャーに抱き上げられ、座席に座らされた俺の様子を心配そうに見つめる。

「休憩を入れればよかったわね。体、まだ本調子ではないんでしょう」と申し訳なさそうに言い、俺の隣に座った。

コンクールでも弾かないような曲をまとめて弾かされ、体だけでなく神経までグロッキーで、答える気力もない。

数時間後に本番だと思うと、さらに気が滅入った。


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