あ、あ、あ愛してる
呼吸困難スレスレの胸の鼓動と、喘々と鳴る喉の音が耳に響く。

スカーフを巻いた喉が痛み、ケアをしておかなければとスクールバッグに手を伸ばす。

エマのじっと見つめる視線を感じ、気づかないふりをする。

15分経過し、ゆっくり立ち上がり手話で「ごめん」と理を入れ洗面所に向かう。

洗面所の鏡と向かい合いスカーフを外し、気管切開で管や弁の入った喉のケアをする。

いつになったら気管切開を閉じられるのか、未だに様子を診ているところだ。

思いの外、肺気胸の予後が良くない。

痛み止めを飲み、炎症した喉周りに薬を塗っていると、驚いたような顔が鏡に映った。

エマたちのマネジャーだった。

俺の隣に立ち、喉を覗きこみ、暫く唖然と立ち尽くしていた。

「喉、良くないのか? リハビリの進み具合は? ボイストレーニングはしているのか?」

我に返ると、矢継ぎ早に訊ねた。

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