あ、あ、あ愛してる
「LIBERTEのボーカルなどというちっぽけな評価ではなくなるはずだ。音合わせを聴いた限りでは、どこに留学しても余裕でやっていける」

本気で言っているのかと、マネジャーの目をじっと見る。

「エマもトニーもジュリアード音楽院を卒業している。トニーは4年間ずっと首席だった」

なるほどなと、初見で弾けるヴァイオリ二ストを条件にするはずだと思った。

「観ていた限り、君はまだ余力を温存しているだろ。本番でどれだけの演奏をするのか、楽しみだ」

南部系の訛りか、集中しないと上手く聞き取れない。

容赦ない速度で話す。

「留学の後押しと留学中のサポートをしてやってもいい。無論、今日の出来しだいたが」

ジュリアード音楽院など、実力をかなり評価もされ、治療とリハビリだけでなくボイストレーニングも兼ねての留学は破格の話だ。

損などないと思う。

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