あ、あ、あ愛してる
仁科副部長の目は画面をじっと見つめたまま、大きく見開かれていた。

「有栖川さんって、こんなにスゴいのに何で留学しないんですか? コンクールで何度も優勝してますよね」

愛美は納得できないという顔で語彙を強める。

「ん……吃音でまともに喋れないのもあるし、バンドの仕事もあるからだろうね。1人でやってるなら自由も利くんだろうけど」

「もったいなくないですか、こんなにスゴいのに」

「留学は何度も勧められてるみたいだし、推薦の話もあるようだが……本人がね。けど、このデュオコンサートが成功したら、留学は確実だな」

「ヴァイオリ二ストの弟は何を考えて、有栖川さんの演奏をUPしたんですかね」

「自分の方が上手いとでも言いたいのかもね」

「当たり前じゃないですか、有栖川さんは初見で演奏しているんですよね」






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