あ、あ、あ愛してる
街のあちらこちらに灯りが見える。

『こんなに綺麗だったんだな、横浜の街は……』

景色をしみじみと、目に焼き付けているのかもしれないと思う。

『花音……留学を勧められてる。喉の治療とリハビリ、ボイストレーニングも今より良い状態でできる。良い話だと思う。でも、迷っている』

和音くんは静かに切り出した。

『LIBERTEが活動休止になってるのは、俺のせいで……拓斗にも奏汰にもマネジャーや、その他たくさんの人に迷惑を掛けていて……1人だけ留学するのは無責任なんじゃないかって、それに――』

淡々とゆっくり手話で話す和音くんの表情はだんだんと沈んでいった。

『俺、花音ともっとたくさん……花音が近くに居たから、花音が励ましてくれたから、辛くても頑張れた。花音が側に居なきゃ俺……』

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