あ、あ、あ愛してる
「君、可愛いね。俺と回らない?」

イケメンで、一緒に歩いていても、いつも女の子が振り向いていく彼だった。

綺麗な子や可愛い子とすれ違うと、必ず目が追っていた。

時々、女の子とメールしたり電話したりているのも知っていた。

あたしと会わない日に、女の子と会っている噂も聞いた。

だからって……。

遊園地に置き去りにして「別れようぜ」なんて、あんまりだと思った。

色んな噂を聞いたけど、信じていた。

彼のこと、信じていたかった。

だけど……無理。

ここまでヒドイ人だと思わなかった。

失恋して、なのに失恋した場所で、着ぐるみを着てバイトしてる。


「何してんだろ、あたし」

大きなため息をつく。

誕生日に好きな人と観覧車に乗って……それが夢だったのに。

叶えられそうにない。

すっごい寂しい。


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