あ、あ、あ愛してる
「そんなスゴい才能のAliceが、ニューヨークに行ってしまったら……向こうで成功したら、帰ってこないかもしれない。あたし……待っている自信が」

「小日向、あんたの気持ちはそんなもんなの? そんな浅いもの? 有栖川はあんたのために頑張ろうとしているのに。この伝言を有栖川がどんな気持ちで書いたのか、あんたにはわからないの?」

仁科副部長の言葉が、あたしの胸にいちいち突き刺さった。

あたしはその後も、和音くんからのメールに返信をしなかったし、電話にも出なかった。

何をどう話し、伝えていいのかわからなかった。

「行かないで」と言って、泣いてしまいそうで怖かった。

和音くんにどんな顔で会えばいいのか、わからなかった。

泣きはらした顔を見られたくなかった。

和音くんの前で泣きたくなかった。
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