あ、あ、あ愛してる
渡米前日の夜。

和音くんからメールがあった。

ニューヨーク行きの飛行機の出発時間を伝えるメールだった。

昼間、仁科副部長が「このままでいいの? 有栖川に会わないまま留学させるの」と念を押したように訊ねた。

あたしは和音くんに返信しないまま、眠れない夜を過ごし、朝を迎えた。

もう会えないのかと諦めの気持ちだった。

仁科副部長が早朝、電話を掛けてきた。

「空港に行くよ。今すぐ準備して学校に来い。有栖川に本当の気もちを伝えるんだ。有栖川に頑張って来いと伝えるんだ」

仁科副部長はスゴい剣幕だった。

あたしは仁科副部長に言われるまま学校まで行き、仁科副部長に引きずられるようにして空港に向かった。

空港に着いても、あたしは和音くんを観ていることしかできなかった。

搭乗時間が間近になっても、あたしは和音くんと時計を交互に見つめた。

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