あ、あ、あ愛してる
「有栖川。お前、眼鏡外して髪上げてみ」

スクッと立ち上がり、手を伸ばしたクラスメイトは素早く俺の黒縁眼鏡を外した。


「よ、よ止……せよ」

何とか髪上げは逃れる。


「あっ―――似てんじゃね~。綿貫和音に」


「どれどれ」

「か、か……かからかうな」

俺を学生が取り囲む。


「有栖川が綿貫?」


「なわけないじゃない、ねえ有栖川くん」


「やっぱり、髪上げてみようぜ」


「や、や、や止め―――」

冷や汗が滲み、目眩がし息切れがし、息を吸うことも吐くことも辛くなる。


「やだ、ウソでしょ!? 有栖川くん」

「またかよ、誰か保健室に知らせて」

心臓が押しつぶされているような感覚と息苦しさで、胸を押さえうずくまる。

喘々と息が漏れ気が遠くなり寒気がし、体が震え出す。


「やべーんじゃね~」
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