あ、あ、あ愛してる
「ウソ!? 綿貫和音にあげたストラップーっ」

俺は人差し指を口に当てる。

花音は唖然とした様子で口をあんぐり開け、手にしていた筒をバラバラと床に転がす。

俺はそれを素早く拾い上げ、腕に抱えて花音の手を取った。

くるりと掌を上に返し、指で文字を書く。


『ありがと、ストラップ。体、大丈夫? 着ぐるみのバイト、まだしてる?』

花音は掌と指の動きをじっと見つめている。

花音の制服のタイは山吹色、1年生だ。


「あの……何で和音くんが此処にいるの? うちの学校の音楽科の制服着て」

目をパチパチさせて、花音は訊ねる。


『俺、音楽科の2年でヴァイオリン専攻だもん』


「ウソーっ」


『ダサAlice、聞いたことあるだろ』


「ダサAlice……あーっ地味で真面目が取り柄の、まともに喋れないダサ男、音楽科で万年首席の!?」

花音は口をパクパクさせて目を見開いている。


『内緒な、バレたら退学になる』

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