あ、あ、あ愛してる
先輩を含む十数人が当然でしょっみたいな顔で手を挙げる。

あたしはドキドキしながら、息を呑む。


「『ROSE――愛は花』がいい人?」

思い切り勢い良く手を挙げ、周りを見回す。

愛美を含めた十数人が手を挙げている。


「ん……『fight』と同数なんだけど」


「部長は?」


「わたしはどの歌でも……伴奏の愛美が『ROSE』がいいなら決まりでしょ」

安直で優柔不断な態度が気に入らない。


「ビシッと決定してもらわないとやる気がでません」

あたしが一歩前に出ると、愛美が言おうと思ったことを言い放った。

おおッと怯み、愛美スゴいと感心する。

副部長仁科さんが拗ねてうなだれた部長を庇うように寄り添い、肩を叩く。

生意気な1年生だという顔で愛美を一瞥し、毅然と「ROSE」決定を宣言し、練習開始を告げる。

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