あ、あ、あ愛してる
「理事会も今回の君の活躍を高く評価している。本番当日、本来の伴奏者が体調不良で欠席というピンチにぶっつけ本番のピアノ伴奏。処分は見送って、次のステージでも活躍を期待してはどうかとね」

言っていることはわからなくはない。

――処分なしは有り難いですけど、本来のピアノ伴奏者は納得しているんですか? それに私事ですけど毎日、練習には付き合えないですが

俺は素早く画用紙にペンを走らせ、3人に向ける。


「ピアノ伴奏の尾崎さんは説得したわ。貴方が居ない時は伴奏の録音を流すから」

顧問が鼻息荒く、挑戦的に言う。

――俺、ピアノ専攻してないんだけど……もっと上手い奴が音楽科にいるはずですけど

俺はため息混じり、画用紙に思ったことを書きつけ、3人に見せる。


「謙遜しているの? あなた、毎回ピアノ専攻のトップクラスより実技試験成績が上でしょう」

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