あ、あ、あ愛してる
「総評で同じことを言われた」


『歌は本格的にやってるからな。ボイストレーニングもしてもらってるし』


「LIBERTEはボーカルの綿貫和音で保っているって言うけれど、本当ね」


『そんなこと言ってる奴らは、耳鼻科に言ったほうがいいな。俺が1人で歌っていたら、おそらく今でもインディーズだ。俺のギターはクラシックの癖が抜けないからバンドに向かない。拓斗や奏汰みたいなパンチが利かない』


「もしかしてクラシックギターも習っていたの?」


『ああ、デビュー直前までな。大学卒業までは絶対バレないように、今まで頑張ってたのにな、拓斗の奴……』


「拓斗は余程、あなたのことが心配なのね。あなたが気を失った後、救急車に乗り込むまであなたの名前を繰り返し呼んでいたわよ」


『勘弁してくれよ。ダサくて地味な優等生で通すはずだったのに』


「えっ!?」
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