あ、あ、あ愛してる
予兆
七夕ライブ明けのブログは「和音、頑張れ」エールで埋め尽くされていた。

朝からワイドショーがライブ冒頭、俺の告白部分の動画を伝えていた。

電車の中吊りには週刊誌やスポーツ紙が「LIBERTEの和音、手話で謝罪」だの「綿貫和音、吃音告白」だの見出しを躍らせていた。

学校と自宅に張り付いていた報道陣もいない。

ゲンキンなものだと呆れる。

教室に入るとクラスメイトが、いつも通りに話しかける。

ありふれた日常、変わらない自然体の時間にホッとする。

黒縁眼鏡でボサボサ髪の有栖川和音としての学生生活が妙に愛おしい。

放課後。

コーラス部の練習に参加し、ピアノ伴奏をする。

県大会出場が決まり約1週間もの間、何を練習したのかと、疑う。

横浜大会の時とほとんど進歩がない。


「あ、あーーの、ぶぶ部長」
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