真夜中のアリス
「…はぁ、はぁ…
じゃあ…あたし…何処に行ったって居場所なんてない…
誰からも招かれる事もなければ…
朱鳥くんがあたしを見てくれないなら…
あたしにはもう帰る場所もない…」
滂沱の如く溢れる涙を止める方法などあたしは知らない。
あの時のように、
『泣かないで、アリス』
ウサギが隣にいてくれる事もない。
あたしは現実世界からも仮想世界からも居場所を失ってしまったみたいだ。
酷くそれは恐怖に変わり
どうしようもないくらい寒くて冷たくて。
何を信じていればいいのか…皆目検討がつかなかった。
「嫌…こんなの嫌だ…!誰か…誰かいないの…?」
当てもなく走り続けるも、もう何も見えないし聞こえてこない。
黒、くろ、クロ。
黒以外何色も存在しない場所。
ブツブツ文句は多いけれど、ずっと隣にいたウサギも今はもういない。
何もかもがおかしくなりそうだ。