真夜中のアリス

Talk of a caterpillar


はっと上体を起こす。倒れていた時間は凡そ数分だろう。けれど、随分寝込んでいたんじゃないかと思う。そして今の残像に映る記憶…。

「(一体何…?あたし、何か忘れてる…?)」

「やあやあ、こんな所で寝転んでいるフロイライン?グーテンモルゲン!」

「うわあああ!!!」

自分以外存在しない筈の闇の空間。予想にもしない声にあまりにも驚いて悲鳴をあげる。
飛び上がり身体を丸めて抱え込みながら声の方向に視線をやると、そこにはあり得ないものが存在していたのだった。

ひどいな、お嬢さん。
「Die schreckliche junge Dame…。そんなに驚くことなんてないのにさ」


やれやれ、と云わんばかりに手を広げ苦笑いをしながら小さく笑うそれは。

「き、き、きのこが立ってる!は、話してる!!」
< 108 / 349 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop