真夜中のアリス
それだけを伝えられると眼前に光が輝きけたたましい音楽が流れ始めている。
暗闇の中、それが異彩を放っている。何やら煌びやかに装飾された洋館、見上げれば丁度看板のようなものが飾られておりそこには”777 ”とだけ展示されていた。
「…ここ…カジノ?ってきのこいないし!」
唐突に現れ唐突に消える。それがこの世界の方式なのか解らないけれど、きのこの紳士はいなくなり代わりに洋館の扉は此方を招くようにゆっくりと開く。中からは更に軽快でいてにぎやかなジャズが大音量で流れている。
理解の範囲を超え、何がどうしてとか真っ白になった思考ではまだ何も考えられないけれど、だからと言って独りになるあの闇の空間には戻りたくはない。けれど向かう先も何があるか解らない。