真夜中のアリス

恐怖と不安が先行して一歩を踏み出せない。狼狽える。情けないけれど手先の震えが止まらない。

「…どうしよう。どうしたらいいんだろう」

立ち往生を繰り広げている中、ぎぃぃと音を立てて更に扉が開き、中から誰かが顔を出す。長い金髪の髪にブラウンの瞳、そしてうさ耳とチョーカーの蝶ネクタイ。高いヒールの靴は真っ赤だ。所以バニーガールらしきその女性。

「あ、あの、その…」

「貴女がアリスね!さあさあこっち!!随分遅かったのね、待ち草臥れちゃったわよ!」

言葉を遮られ、無理やり手首も掴まれバニーガールのお姉さんのなすがままにされるあたし。
手を引っ張られどんどん中に吸い込まれていく。横目でチラ見と反射した光景、先程の紳士なきのこに似たきのこ、シマリスやらアライグマみたいな動物が興奮、白熱して一つのルーレットに視線を送り球の行く末を金貨と共に見守っているようだ。やはりここはカジノなのだろう。
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