真夜中のアリス

棚には数々の装飾品に薔薇の花束がそのまま花瓶に生けられている。豪華絢爛、その言葉しか出てこない語弊の少なさに軽く目眩を覚える。
バニーガールのお姉さんも早々に部屋を後にして残されたのはあたしひとりきり。見知らぬ部屋で更に高級そうな装飾品に囲まれ動けず仕舞い。

「(うーん…。困ったなぁ…)」

部屋を右往左往して、調度品に当たったりしたら大問題だ。そう思うと尚更動けず仕舞い。
悪いと思いつつもワインレッドにソファにゆっくり腰をかける。重みでどんどん体が沈んでいく。
ふかふかな感触とやけに暖かいそれに少し気持ちが和らいでいく気がした。

「それが気に入ったのかい、お嬢さん。
ゆっくり寛いでおいき、疲れたろう。」
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