真夜中のアリス
「あの…だからね。俺の話聞いてる?」
そんな賑やかな会話を言い切るか言い切らないかの刹那、エースの茶色の髪は一瞬ふわりと宙に浮く。それはまるで一迅の風が通り抜けるように。
その瞬間、ばぁんと大広間の扉が盛大な音とともに開かれる。それは中にいた2人には予想にもしなかった出来事であった。
和やかだった空気は一変。緊迫とした緊張感が仲睦まじい2人が一瞬で女王と側近という立場に戻る。
「…だ、誰です!?ここには女王がいると知っての無礼ですか!?」
「女王さま!お下がり下さい!…そ、そこにいるのは誰だ!」