真夜中のアリス
「あと数刻もすれば闇は晴れます。明けない夜なんてありません。だからウサギさん、大丈夫ですよ。またアリスに会えるし、光を浴びた花のような笑顔を貴方に見せてくれますよ」
悲しげに耳を垂れさせいまにも自分も泣き出しそうになっているウサギに優しく語りながら女王の姿はゆっくり透明に透けていく。
「え、本当にまたそれをやるの!?」
エースはただ焦るばかり。止めても聞かない事は重々に承知な為か、先程のように停止の声はあげていない。
「月に何回かはやらないと身体が鈍っちゃいますからね。あ、エースさんはお留守番ちゃんとしててくださいよ。連れてってあげませんから」
「い、いや俺は別に行きたいわけじゃ…」