真夜中のアリス

「ん?なんか言いました?」

女王さまが去ってしまった後の城内。お互いに置いて行かれた側近のエースくんの後をついていく形で、憂鬱な気持ちを抱え足取り重く僕は歩いていた。

「………え?あ、ううん、何でもないよ…」

ポツリと吐いてしまった言葉は運悪く拾われてしまっていたようだ。けれど、誤魔化したせいか気遣われたのかわからないけれどそれ以上は何も聞かれる事はなかった。

「…ウサギさんがさ、そんな沈んだ顔してたら、女王さまとアリスが戻ってきた時に余計に心配かけてしまうと思います。だから、元気出さなきゃ駄目ですよ」

「エースくん…」
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