真夜中のアリス

酷い落ち込み具合らしい僕を気遣って声を掛け、歩調も合わせてくれている。彼の優しさを痛感して、嬉しくもあり気を遣わせてしまった事に申し訳なさを感じていた。
ただ広い城内を歩き長い時間をかけて、城の地下の螺旋階段を降りる。その場所は秘密裏のように地下の奥深くに造られて所在は造ることを命じた女王とエースくん、そして実際に携わった者しか知らされていなかった。勿論、僕も知る筈もなかった。

「ねぇエースくん。僕は今からどこに行くの?」

「あれ?ウサギさん知りませんでしたっけ?」

「…僕は城の者じゃないから知らされるわけがないじゃない」

意外そうな顔を浮かべたエースくんを後目にはぁと溜め息。女王さまが怒る理由がちょこっとだけ理解出来た気がした。
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