真夜中のアリス
「えっとですね…、簡単に言えば、女王さまお気に入りの“秘密の花園"です」
「秘密の花園…?」
花園なら、別に隠す通りなどないはず。ますます女王さまの真理がわからなくなる。
「そ。まあ花園とか言いながら栽培してんの薔薇だけだから、薔薇園なんですけどね。」
「…そんな場所に、どうして今行かなきゃならないのかな」
本当は今すぐにでも駆け出して僕だって捜しに行きたい。彼だって同じ気持ちだ。確かに薔薇は好きだけれども、今はそんな事を言っている気分になどなれない。
泣き虫なアリス。もしかしたら今もどこかで泣いているかもしれない。